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📅 2026.05.05 | RYU NAKAZAWA
💪 挑戦

ラン後の自販機で小銭がない絶望──視覚障害ランナーが編み出した「確実に水分補給できる」5つの方法

あなたは長距離走の後、喉がカラカラで自販機の前に立った瞬間、財布に小銭がないことに気づいた経験はありませんか?

私は視覚障害B2クラスのトライアスリート・中澤隆です。盲導犬シュクレと暮らしながら、IRONMAN完走を目指して日々トレーニングしています。

ランナーにとって「走り終わった後の水分補給」は命綱。でも、視覚障害がある私にとって、この単純な行為が思わぬ試練になることがあります。

今日は、私が実際に経験した「ラン後の自販機トラブル」と、そこから学んだ確実な対処法をシェアします。あなたがもし「ラン後の補給に不安がある」「スマートな対策を知りたい」なら、この記事が役立つはずです。


自販機前で立ち尽くした、あの日の絶望

2024年9月15日、私は北海道・IRONMAN みなみ北海道でフルディスタンス(226km)を13時間14分17秒で完走しました。

でも今日話すのは、もっと日常的な失敗談です。

ある晴れた日曜日、の自宅周辺で20kmのロング走を終えた私は、喉の渇きに耐えかねて近くの自販機へ向かいました。

盲導犬シュクレが自販機の前まで誘導してくれます。私は財布を開けました。

小銭がない。

正確には、100円玉が1枚だけ。でも飲みたいスポーツドリンクは160円。千円札は何枚も入っているのに、この自販機は電子マネー非対応。

視覚障害があると、硬貨の種類を触って確認するだけでも時間がかかります。暑さと疲労で判断力が落ちているときは、なおさらです。

結局その日、私は自販機を諦めてコンビニまで歩きました。たった300mでしたが、脱水状態で歩く300mは果てしなく長かった。

「これ、ちゃんと対策しないとマズいな」

そう思った瞬間でした。


なぜランナーは「ラン後に小銭がない問題」に遭遇するのか?

考えてみれば、これはランナーあるあるです。

私の場合、視覚障害があるぶん「硬貨の判別」にさらに時間がかかります。100円玉と500円玉は大きさで分かりますが、10円と50円、1円と5円はけっこう迷います。

練習後は指先の感覚も鈍っているので、ミスも増える。自販機の前で立ち尽くすのは、想像以上にストレスなんです。


視覚障害ランナーが実践する「確実に水分補給できる」5つの対策

この経験から、私は以下の5つのルールを徹底するようになりました。

1. **練習前に「小銭ポケット」を必ず確認**

ランニングポーチに500円玉×2枚を常備しています。

なぜ500円玉か? 理由は2つ:

100円玉だと枚数が多くなって音が鳴るし、判別も面倒。500円×2枚なら、最大1000円分の補給が確保できます。

2. **電子マネー対応自販機のルートを事前確認**

今はGoogleマップで「電子マネー対応自販機」を検索できる時代です。

私は練習コース沿いの対応自販機をガイドランナー(練習パートナー)と一緒にチェックし、スマホのメモアプリに「○kmポイントにコカ・コーラ対応自販機あり」と記録しています。

視覚障害があると、いきなり知らない場所で自販機を探すのは困難。事前情報があるだけで安心感が違います。

3. **コンビニを「最終補給拠点」として記憶**

電子マネーが使えて、トイレもあって、店員さんに助けを求められる。コンビニは視覚障害ランナーにとって最強の補給拠点です。

私は練習コース上のコンビニ位置を「5km地点・ファミマ」「15km地点・セブン」のように頭に入れています。

盲導犬シュクレも、よく行くコンビニは覚えています。「シュクレ、セブン!」と言えば誘導してくれる(こともある)。

4. **ハイドレーションパック(給水バッグ)を背負う**

長距離練習(20km以上)では、最初から背負える給水システムを使います。

自販機に頼らなければ、小銭問題は発生しません。シンプルですが、これが最も確実。

ただし夏場は重いし、冬は凍結リスクがあるので、季節と距離で使い分けています。

5. **ガイドランナーに「小銭係」を頼む**

これは甘えかもしれませんが、ガイドランナー(私の場合は河原さんや平川さん)と走るときは、補給担当をお願いすることもあります。

「自販機で買うから、小銭持っといて」と事前に伝えておく。視覚障害者スポーツでは、こうした役割分担も大切なチームワークです。


「小銭問題」を解決したら、練習の質が上がった理由

実は、この対策を徹底してから練習後の回復が明らかに早くなりました。

理由は単純。水分補給が確実にできるから、脱水を避けられる。

以前は「自販機で買えなかったら諦めよう」という妥協があったため、補給が遅れることが多かった。結果、翌日の疲労が残る、練習頻度が落ちる、という悪循環でした。

「小銭500円×2」というルールを決めてから、その不安がゼロになった。練習後30分以内に確実に水分とミネラルを摂取できるようになり、回復が劇的に改善したんです。

「たかが小銭、されど小銭」。

この小さな習慣が、IRONMAN sub11時間への道のりを支えています。


あなたも「補給ルーティン」を持っていますか?

この記事を読んでいるあなたは、おそらくトライアスリートかランナーでしょう。

もしあなたが「練習後の補給を適当にしている」なら、一度ルールを決めてみることをおすすめします。

どれでもいいんです。大事なのは「補給できない」というリスクをゼロにすること。

私のように視覚障害がなくても、疲労で判断力が落ちるのはみんな同じ。事前に決めておけば、迷わない。迷わなければ、補給が確実になる。補給が確実なら、回復が早まる。

シンプルですが、これが長く走り続けるための秘訣です。


まとめ:小さな準備が、大きな挑戦を支える

視覚障害B2クラスの私が、IRONMAN完走(13時間14分17秒)を達成できたのは、こうした「小さな習慣の積み重ね」があったからです。

「自販機で小銭がない」という小さな失敗から、私は大きな教訓を得ました。

それは、「準備とは、未来の自分を助ける行為だ」ということ。

あなたも、次の練習前に財布の中を確認してみてください。500円玉が2枚入っているだけで、走り終わった後の安心感が全然違いますよ。


【もっと具体的な補給戦略を知りたい方へ】

私のnoteでは、IRONMAN完走に向けた「練習中・レース中の補給計画」を数字とデータで詳しく公開しています。

また、noteマガジンでは盲導犬シュクレとの練習風景や、ガイドランナーとの補給シーン(自販機の使い方含む!)を動画で紹介中です。

興味があれば、ぜひチェックしてみてください。

一緒に、sub11時間を目指しましょう。

中澤隆(IRONMAN挑戦中・視覚障害B2・盲導犬シュクレ)

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